設立趣意書

設立趣意書

1 趣 旨  
阪神・淡路大震災では、多くの歴史的建造物が被災し姿を消していきました。文化財に指定された建造物の大半は修理・修復されましたが、そうでないものはほとんど解体されるという大きな落差が生じました。これを教訓に、国は1996年に,これまで文化財として扱われていなかった近代建築や民家等多くの歴史的建造物を文化財としてゆるやかに保護する「登録文化財制度」を創設しました。しかし、地域の歴史的建造物を発掘していく人材も、保存・活用していく人材も圧倒的に不足しており、同制度を実質的に担う人材の育成が課題として浮上してきました。
そのような中で,兵庫県教育委員会は(社)兵庫県建築士会と連携し,全国に先駆け「兵庫県ヘリテージマネージャー養成講習会」を2002年1月に開講しました。建築士を対象に,歴史的建造物の修理技術や活用手法,歴史文化遺産を活かしたまちづくり等に関する60時間に及ぶ座学と実習を行い,全講義を受講した修了者を地域の歴史的建造物の保全・活用等に携わる専門家「ヘリテージマネージャー(以下,「HM」という。)」として県教育委員会に登録する制度が発足しました。この講習会は現在も継続しており,2014年3月までに12期、延べ300人を超える「ヘリテージマネージャー」が生まれています。

今回,法人として申請するに至ったのは,これまで行ってきた活動や事業を更に発展させるためには,自治体や他の公的団体等との連携が重要であり,そのためには法人格を持った組織であることを求められることが多く,また,社会的にも認められた法人組織であることが有効であると考えたからです。この理由から任意団体の限界を感じ,特定非営利活動法人格を取得するのが望ましいと考えました。
それで、阪神地域(芦屋市・西宮市・尼崎市・伊丹市・川西市・宝塚市・能勢町・猪名川町等)の「ヘリテージマネージャー」を中心として、更に活動に賛同する人材を広く求めて層を厚くしつつ、特定非営利活動法人格を取得することで、新たな時代に即応した地域密着型の活動展開を図っていきたいと考えています。
法人化により,公正かつ透明性の高い運営を行い,歴史的建造物の所有者や地域住民の信頼を得やすくなることを期待しています。自治体等との連携をさらに深めることにより,歴史的建造物の保存・活用に関するさまざまな事業を円滑かつ効果的に展開できるようになり,地域の貴重な資産である歴史的建造物を次の世代へ伝えるための支援をより幅広く行うことで,地域社会に広く貢献できると考えます。

2 申請に至るまでの経過  
2002年1月、兵庫県・兵庫県建築士会共催の「兵庫県ヘリテージマネージャー養成講習会」受講以来、2010年までH2O阪神で、阪神間の近代化遺産調査・建造物国登録有形文化財への手続き(7物件)
・ひょうごヘリテージ機構のアドバンスコースの研修会の立上(4回)・平成20年度「NPOによる文化財建造物活用モデル事業」受諾(耐震診断の活用)・兵庫県文化財パトロール(継続中)等の活動した経緯に加えて、下記内容を継続中です。
                   記
2010年~現在 「ひょうごの近代住宅100選」(阪神間-松山大学温山記念会館・正司邸・坂野邸・ 山本清記念会館)の定期点検活動への協力
2011年3月   猪名川町「静思館現状調査及び改修計画策定業務」受諾策定
2011年~現在  兵庫県「近代和風建築総合調査」への調査協力
2012年~現在  西宮まちたび博への協力
2012年11月   宝塚市「安田邸活用支援の検討シンポジューム」
2013年3月   西宮市近代住宅展への協力(西宮市郷土資料館)
2013年4月   H2O阪神総合定例懇談会においてNPO設立の意思確認メンバー募集
2013年~現在  第1回準備委員会11月開催~2014年4月第6回準備委員会開催
2014年2月   塩野邸(神戸市東灘区在・木子七郎設計・大正初期)活用提案内と覧会参加
2014年3月   鷲尾家住宅(神戸市北区白川在・明治初期・大古民家)の調査と活用提案
2014年3月   森田家住宅(猪名川町・大正・茅葺古民家)文化財登録検討中
         同時に猪名川町の古民家文化財見学
2014年4月   西宮市教育委員会の「生瀬地区文化遺産総合調査実施」に依頼に参加検討中
2014年9月   設立総会

          平成26年 9月 7日 
 特定非営利活動法人 阪神文化財建造物研究会
 設立代表者 住所又は居所
        兵庫県西宮市北名次町7-24
                   氏名  代表理事 山崎 誠 ㊞