文化財に関するQ&A

こんな時にはご相談を!

長い年月を経て受け継がれてきた登録有形文化財は、社会状況の変化、経年による劣化、所有者環境の変化等、課題が山積した状況にあります。それらに対する定まった解決策を見出すことは困難ですが、課題ごとに関係者が経験と知識を活かし、文化財価値を毀損しない範囲で、各々に適切な処方箋を提示する努力が求められます。

訪問調査の回数を重ねて、信頼が得られるようになると、所有者や管理者から様々な相談を受ける機会も増えてきます。以下に所有者・管理者などからの質問例を示します。

(1)維持管理に関すること

Q.今後発生が予測されている東南海・南海地震が起こった場合、建物は大丈夫でしょうか。
A.文化財建造物の大半は倒壊の恐れがあります。ご心配であれば、耐震診断を受けられた方が安心と思います。国や行政の補助金制度もありますので、一度行政の窓口で相談をされてはいかがでしょう。よろしければ当方でも耐震診断の実施や耐震改修のご相談をさせて頂きます。
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Q.うちの家は古いので、台風等で瓦や樋などが飛んで行ってご近所に被害を与えるのが心配です。
A.一度建物の劣化診断を受けられて、対策を検討されてはいかがでしょう。当方でも診断業務を行っていますので、宜しければ提案・お見積もりをさせて頂きます。
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Q.古い家なので、柱の足元が腐ってきました。1本柱を取替えると他の修理が大変になるので根継をしたいのですが、今の大工さんもできるでしょうか。
A.今の大工さんでも出来ますので、お知り合いの大工さんに相談をなさってみてはと思います。ただ、継手にはいろんな手法が有りますので、当方で決められた継手の可否判断をさせて頂くこともできます。
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Q.大屋根の破風が腐朽してきたため、交換しました。色付けした方が良いのでしょうか。それとも、何も塗らずに黒くなるまで待った方がよいのでしょうか。
A.腐朽の原因になりますので耐候性の高い塗材での施工をおすすめします。昨今、環境に配慮した塗料が販売されております。ご要望があれば塗料のご提案をさせていただくともに、専門の施工業者を紹介させて頂きます。
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Q.外部の焼き板が経年変化でむくった状態になっていますが、ほっておいてもよろしいでしょうか。
A.放置しますと雨水の侵入により下地材まで腐朽しますので、早めの修繕が肝要です。
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Q.腰の羽目板が腐ってきて交換したいのですが、留め付けはステンレスの丸頭の釘でよろしいですか、和釘で留め付けた方がよろしいでしょうか。和釘は高価だと聞き及びますが。
A.和釘を使用しているという価値をご理解いただき、和釘での施工をお奨めします。既存の和釘の再利用も含め、ご要望があれば専門の施工業者を紹介させて頂きます。
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Q.外部タイルに塩焼きタイルを使用しています。部分補修しようと思いますが、どうしたらいいでしょう。
A.塩焼きタイルは、主に窯を傷めるという理由により現在は製造中止になっています。まったく同じ製法では製作できないため、似通った風合いの還元焼成タイルの使用をお勧めいたします。部分補修の場合は、近似のタイルを業者さんに探して貰うと良いでしょう。
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Q.土間の三和土に緑色の苔が発生してきていますが、さしあたって建物に影響はありませんか。
A.さしあたっての建物への影響はありません。湿気が原因と思われます。防湿処理のうえ三和土を入れ替えるのが理想ですが、それでも完全にカビの発生を防げるとは限りません。費用対効果を考慮して差支えがなければ、清掃(カビの除去)での対応で様子を見られてはいかがでしょう。
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Q.部屋内の漆喰壁や天井が汚れてきたので、ペンキで上塗りをしましたが、数年でめくれてきました。どうすればいいでしょうか。
A.乾燥不十分な漆喰に塗装するとめくれてきます。漆喰は乾燥に長期間を要します(50年~100年かかるとも言われます)ので、本来塗装は適しません。敢えて再塗装をされる場合は、通気性のある塗料を使用ください。ご要望があれば適した塗料の選定をさせて頂きます。
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Q.離れの和室と茶室の下屋(銅板ハゼ葺き)の瓦の雨水直下部に穴が空き、漏水しています。下屋全部を葺き替える必要がありますか。
A.戦後の銅板葺きの屋根に多く見られる現象のようです。原因は銅板の成分の為かそれとも酸性雨の所為か不明ですが、全部を葺き替える必要はありません。穴が空いた個所の部分補修(銅版の接着貼り)で事が足りますし、費用も安くつきます。
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Q.大正時代のコンクリートの建物に住んでいます。最近コンクリートは50年位しか持たないと言われていますが、どうすればいいでしょうか。
A.耐震診断が必要と思われますので、専門家(建築士)に相談して下さい。 大正時代のコンクリートは骨材などが良く(海砂でない)、固練りですので、比較的しっかりしています。
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(2)登録有形文化財制度に関すること

Q.国の登録有形文化財になりましたが、補助金等がありますか。
A.登録有形文化財建造物を公開活用して地域活性化を促進するために、公共団体もしくは文化庁長官が適当と認める法人が保存活用計画の策定や設備整備、耐震対策を行う場合、その事業費の1/2を国が補助します。また、税の優遇措置として、相続税については、相続財産評価額(土地を含む)の3/10が控除され、固定資産税については、家屋の固定資産税が1/2に減税されます。当方でも補助金申請の相談に応じています。
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Q.軽微な修繕は無許可で行なってよろしいですか
A.屋内の軽微な修繕は問題ありません。大幅な改造や外観に関する修繕は、事前に行政の文化財窓口との協議が必要です。
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Q.窓を防風・防塵対策上、木製からアルミサッシに変えたいのですが、可能でしょうか。
A.外観に関する修繕となりますので、行政に事前打ち合わせの上、承認後、工事に取り掛かってください。
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Q.鼻先の瓦が損傷して差し替えたいのですが、饅頭付きの瓦で無くてもよろしいでしょうか。
A.極力既存の状態(饅頭付き)に戻す修理を行ってください。瓦の入手等が困難な場合は、当方にご相談ください。
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Q.快適な居室にするためにエアコンの導入を検討していますが、母は現状で満足しています。どうしたらよいでしょうか。
A.登録文化財は、住まい方を制限しているものではありません。所有者の方が快適に住まわれることが大切です。外観に配慮して頂き、出来るだけ目立たない場所へ室外機を設置していただければ、エアコンスリーブの壁貫通は問題ありません。
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(3)継承・利活用に関すること

Q.世代が変われば、後継者がどのように保存していくのか解りません。どうすればいいでしょうか。
A.所有されている文化財建造物を継承されるに当たっての問題点は多々あると思います。今回の文化財ホームドクター活動をきっかけに、行政と我々専門家も一体となって知恵を出し合える場を設けられれば、何らかの方向性を見いだせる可能性もあります。
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Q.人通りも多く町家カフェとして活用したいのですが、どの様に計画を立てれば良いのでしょうか。
A.改造を最小限にすることで、工事費も削減でき、継続的な活用につながる可能性が高まります。また、今ある空間をできるだけ残すことで、伝統的空間を活かした特別なカフェとしての魅力へとつながります。店舗として利用される場合は、耐震診断を受けられることをお勧めします。
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Q.カルチャー教室として活用したいので、内部の改装工事を行うに当たって、何かアドバイスをいただきたいのですが。
A.カルチャー教室となれば、多くの人が利用することになりますので、建物の安全面での検討が必要です。耐震診断や建築構造・防災的な安全性の検証を行ってください。
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Q.昔の民具など価値の有りそうな書画骨董を多数所蔵していますが、整理できていません。登録文化財の住居と共に時期をみて一般公開を考えているのですが、お力添えを頂けますか。
A.勿論です。建物だけでなく動産の文化財についても保護を推進している団体があり、当方とも連携したバックアップ体制が整っています。また、行政の文化財担当や地元コミュニティ、文化財の関係団体に呼びかけ、ワークショップ等々いろいろなイベントの企画も検討させて頂ければと思います。

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